" 人は皆 後戻りできないと言うが
目の前が崖なら そのまま突き進むか
まわれ右をして前に進むか どっちがいいと思う? "
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とある古い店舗の天井裏 篭る熱気 削られる気持ち
見えるのは ヘッデンの灯りに照らされる 古ぼけた柱と舞う埃
聞こえるのは 換気扇の音と埋込スピーカーから流れる ちょっと前の流行歌
窮屈な姿勢の中 向き合うのはコンマ四ミリの配線達
小一時間 やっと作業を終え 外に出た
スカッとした夏空 抜ける風が気持ち良い
削られた気持ちも コレでリセットだ
そう想い 汗を拭う僕に 依頼主が言った
" なんだ 意外と早く終わったんだな "
ちぇっ チクチクと痛いな
体中 纏わりついた 天井裏の埃と断熱材のせいか
いや 心の中 積もり積もった誇り
そして その誇りを守る 邪魔くさい断熱材のせいだ
たくさんの埃を吸ったのだろう その日一日具合が悪かった
あ そうか ぼくの積もり積もった誇りも ひとを不快にし
そして 誇りを守る為に敷き詰められた断熱材は
チクチクと ひとを削っているのだろう
気持ちの良い夏空 吹き抜ける風 路端の草花
心をリセットする そんなモノに自分もなりたい
開き 風を通し 光を
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180° 変わる そんな事がある
現実は何も変わらぬ 現実のまま
180° 変わる 自分の気持ち次第だ
いつだって 気持ち次第なんだ きっと
簡単なことだよな
きっと
8月 夏の日に 想う
Kedama