Higuma no Kedama

この物語は

3歳で母と別れ18歳で父を失いながら

あらゆる迫害と闘い

ふり向くことなく　ドラマーとしての自己を確立した　一少女と

挫折しながらも　やがて己の道を開いた

若者たちの記録である






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先日のパーティーで演奏するため　邦男がギターのチューニングをしていたの

その時切れてしまった弦が　私の目に当って　記憶膜が傷ついてしまったの

そして　私は記憶を失い　途切れ途切れになってしまったの

記憶が曖昧な事は　前回の記事 に書いたわよね

乳首（ちちくび）がどうのって云うのは

自分を責める邦男の事を想って

嘘をついてしまったの




あ　ごめんなさい　私の名前は　麻生未記　18才よ

みんなは私の事を　ケダマって呼んでるわ




記憶を失ってからの私は

大好きなドラムを医者から止められて

すっかり自暴自棄になってしまっていたの

街の不良達と　毎夜毎夜　ケンカに明け暮れていたわ

大切なドラムスティック　いつもポケットに入れているドラムスティック

今はもう　人を傷つけるためのドラムスティックだわ
　
すっかり　戻ってしまっていたの

非行に　身を落とした

あの頃の　私に




挿入歌　：　私生まれてふしあわせ　/　梶芽衣子







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そんな私は

土曜日の仕事を終え

ポロトキャンプ場へ向かったの

「ケダマ　キャンプしているから　来いよ」

途方に暮れていた私を　キーボードの晃が誘ってくれたの

他のザ・バンテージのメンバーも一緒よ

でも　邦男は居ないらしいの

心配だわ　邦男

大丈夫？










本当に

本当に　素敵な

愉しい　二日間だったわ

春って云っても　朝晩はまだまだ寒くって

気温は　氷点下近くまで冷え込んだんだけど

私　寒くなんか無かったわ　だって素敵な仲間との時間

寒さなんかへっちゃらよ　本当に　本当よ　

あゝ　愉しくって　愉しくって

素敵な時間だわ



本当よ



そんな事を想いながら

すっかり自分を取り戻した　私

暖かな春の日差しに包まれていた時よ

晃の携帯が鳴ったの　邦男からの電話だったわ

邦男ったら　自殺して自分の記憶膜を　私にって　

何てことなの　大変　私　私



あゝ　どうしよう



責任を感じていた　邦男

自暴自棄になり荒れていた私を心配して

あゝ　どうしよう　どうしよう

良いのよ　もう



私ね



記憶が無くなって良かったと思ってる

何にも記憶が無いと　耳だけがたより　耳を澄ますと

今までは気に止めていなかった街には　色んな音が溢れている事に気づいたの

どんな雑音でさえ　麗しく聴こえるわ

記憶が無くなって　初めて人の真心が見えた

私　人に記憶をもらわなくても大丈夫

これからは例え手探りでも

ドラムを叩いて

生き抜いて見せるわ

大丈夫よ




邦男





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晃たちが駆けつけ　邦男は一命を取り留めた

オールジャパン音楽祭に向け練習に励むザ・バンテージ

そして　音楽祭当日　きりこやともえが英次たち不良グループに拐われてしまった　

何とか助け出した　ザ・バンテージだが　音楽祭の時間が迫る

どうする　ザ・バンテージ

どうなる　ザ・バンテージ




続く





次回最終回　「限りなき前進」



オールジャパン音楽祭へ駆けつけたが

無情にも出場時間には間に合わず失格となった

しかし出場出来たとしても　優勝はビリーと最初から決まっていたのだ

コンテストとは関係なく　演奏を許された　ザ・バンテージ

観客たちは　もう帰り始めているのだが

どうなる　ザ・バンテージ










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Special Thanks All !!

皆様ありがとうございました！！！！


2013.04.20~21 Camp ground " POROTO "

Kedama