Higuma no Kedama

「 ああ　疲れたなあ　でも　最高だったね 」



僕の名前は　Kedama　41歳

その日　僕は仲間達と一緒に　BCスキーをした





仲間は皆　BCスキーを持っているんだけど

持っていない僕は　スキーとブーツをザックに括り付けて　登ったんだ





メタボで体力のない僕

空荷で登るだけでも大変なんだけどさ





スキーなんか背負ったもんだから　もう大変

彼方此方の筋肉が悲鳴を上げ始めたんだ





しかも　山歩用のカメラストラップを忘れたもんだから

ただでさえ邪魔な腹回りで　カメラがぶらぶらしてさ

とても　歩きづらかったんだ





いつも撮影しながら歩く僕は　最後尾なんだけど

この日は　関係なく　どんどん離されて行くんだ

終いに　撮影対象がフレームから消えてしまった





何とかこんとか　たどり着いた　この日のゴール

さあ　あとは降りるだけ　でも

今日はこれからが本番だった　そう滑り降りなきゃ





撮影するために　僕が先に降りたんだけど

ワンターンで太ももを　もうワンターンで脹脛を

たどり着いた撮影ポジションで　足の指を　攣った　

カメラの準備よりも　攣った足が治る間　待ってもらったくらいにね





それでも何とか　キャンプ地に帰還

アミノバイタルを忘れてしまった事を強く後悔しながら

疲労困憊の身体を引き摺り　Tentipi の中へ




この時の僕は　まだ　何も知らないでいたんだ


まるで　" 初恋 "


そう　あんな事になるなんて


この時の僕は　まだ　何も





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「それにしても凄い雪だったね」

「最高のパウダーだ」



そう言いながら　Tentipi の中へ入る　僕達

中には先に戻っていた S さんが　一人

笑顔で僕達を迎えてくれた



「皆　お腹すいたでしょ」

「かつとじ　温めておいたわ」



数日前　僕は　奥歯の被せ物が取れた

そのせいで　肉とか　しっかり噛まなきゃいけない食べ物が

食べられないでいたんだ




「ごめんなさい」

「せっかくだけど　とんかつは食べられそうにないんだ」




それを聞いた S さんは　黙って立ち上がると

ストーブの上のフライパンに手をかけ　蓋を開けたんだ




何となしにその中を覗いた僕は　正気を失った



旨味成分タップリの出汁風呂に浸かり

火照った身体で　僕を見つめる　入浴中の " とんかつ嬢 "　が　そこに

玉子のバスローブを身に纏い　僕に微笑むんだ




その姿は　僕の鼓膜を抜け　股間へ一直線だ



もう我慢できない



旨味成分のバスタブへ　近づく　僕



「いただきます」　そう言おうとした時


僕の唇に柔らかい物が触れて　言葉を遮られた


触れたそれが　" とんかつ嬢 "　だと気づくのが先か


" とんかつ嬢 "　が　口の中へ


あゝ　なんて厭らしい味わいなんだ


" とんかつ嬢 "　


僕は夢中になって　味わい尽くしたんだ






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" 分別を忘れないような恋は　そもそも恋ではない 　トーマス・ハーディ "




それからの僕は　" とんかつ "　を忘れられないでいる


まるで　" 初恋 "


毎日　あの時を想い　" とんかつ "　を食している


だけど　だけど　


あの時が　戻るわけもなく




" 初恋が唯一の恋愛だ　といわれるのは至言である　

というのは　第二の恋愛では　また第二の恋愛によって

恋愛の最高の意味が失われるからである 　ゲーテ "




あゝ　今もなお　瞼を閉じると



あの時を　想い出す











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Special Thanks All !!



2泊3日のキャンプ＆ハイク

美味しい料理の数々　本当にご馳走様でした

とてもとても楽しい時間を過ごすことが出来ました

ご一緒した皆様　本当にありがとうございました




02.14　St. Valentine's day

Kedama







2012　" Toward the light "
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